ひるねゆったりの寝室

アニメとか漫画とか映画とかの感想を書いていきます

『バブル』『シン・ウルトラマン』『ハガレン/復讐者スカー』『ハケンアニメ!』の雑感

今年は全然映画を観られていないのだが、5月6月はなんとか2本ずつ観ることに成功した。その雑感。

 

『バブル』

個人的に荒木哲郎監督のファンであるので、その最新作を観ようというのが最大の動機。映画館に足を運んだ時点で悪評が漏れ聞こえていたため、なんとなく身構えてしまっていた。

観終わってまず感じたのは「世評ほど悪くない」ということ。

パルクールを通して、主人公とヒロインがお互いを大切な存在だと認めていくのは観ていて分かるし、終盤で急速に恐ろしい厄災が降りかかるのも、アニメ映画として呑み込める範疇だったと思う。

自分が気になったのは主人公のキャラクターの見えにくさで、ここは『ギルティクラウン』や『甲鉄城のカバネリ』で見せたような生々しさがあると嬉しかった。

また、これはファン的な視点だが、『ギルティクラウン』と共通するモチーフが多く取り入れられており(東京タワーから怪しい歌が流される展開、主人公とヒロインの関係や出生、「ねえさま」と呼ばれる存在がラスボス……)、やはりあそこに原点があるのだろうと再確認した。

バブル (集英社文庫)

『シン・ウルトラマン

思ったより変化球の少ない作品だった。自分は昭和のウルトラシリーズの知識がかなり少ないため、筋書きそのものを新鮮に受け止めながら観た。ウルトラマンのテカテカした皮膚感などが何とも奇妙で面白い。CG主体のバトルもそこまで粗を感じることなく楽しめた。むしろ、戦闘シーン以外のなんとなくスケールに乏しい絵面の方が、『シン・ゴジラ』と比較して厳しいように思う。

内容はメフィラス星人編までは抜群に面白かったが、ゼットン戦では食い足りなさが勝った。ストレートに敗北→逆転をやるのであればもう少し溜めが欲しいし、敢えてそこをサラッとやるのであれば、ラストにどんでん返しが欲しかった(続編が予告されるとか……)。

総じてプラスの印象ではあるので『シン・仮面ライダー』も楽しみ。

S.H.フィギュアーツ ウルトラマン(シン・ウルトラマン) 約150mm ABS&PVC製 塗装済み可動フィギュア BAS60867

 

鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』

前作を映画館で観たきり&原作を読んだのが6年前ということで、かなり色んな記憶が曖昧なままの鑑賞。前作で感じた「スペクタクルの物量が足りない!」という点を大幅にアップグレードしてきて、とにかくバトルが連続して飽きさせない。そして話も密度が濃く、忙しないながらもスカー&ウィンリィの物語として、真っ当な面白さがあった。

イシュヴァール殲滅戦は正直、グリーンバック合成感が拭えなかったけど、これは『ファンタスティック・ビースト』でも感じたことだから、洋の東西を問わず手が掛かるのだと思う。マスタングホークアイの回想は『イカゲーム』の6話(作られた狭い街でゲームする回)みたいだな、と感じてしまったが……。

映画ノベライズ「鋼の錬金術師」2 復讐者スカー

 

ハケンアニメ!』

事前に「アニメ業界事情は大胆に脚色されている」と聞いていたので、その辺りを割り切って観ることができたのはかなり幸運だった。そこさえ受け入れてしまえば、クリエイターものとして普遍の物語であるからだ。しかも、それを支えるディテールも面白い。

今作の主人公・準主人公である斎藤と王子。斎藤は自分のデスクに座っている様子は少なく、とにかく駆けずり回り、暇さえあればタブレットで絵コンテを描いている。これに対して、王子は広々とした部屋の一角で、書き損じた紙を撒き散らしながら過ごす場面が多い。斎藤は才気ある新人で、王子は孤高の天才。それを視覚的に、直感的に分かりやすく示す画作りだ。

細かい点では、高野麻里佳吉岡里帆(斎藤)が直接言葉を交わすシーンが面白かった。高野がまさに「アニメ的な声」で、しかし三次元の肉体を通して喋っているのを観ていると、脳が混乱するのだ。耳ではアニメだと受け取っているのに、目では実写作品を観ている……という混乱である。個人的には、このシーンが最もオリジナリティを感じた部分でもある。「アニメ的な声」で喋った方がリアリティが生じるなんて、なかなかお目にかかれない描写だと思った。

ハケンアニメ!