ひるねゆったりの寝室

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『キドナプキディング 青色サヴァンと戯言遣いの娘』

戯言シリーズ〉の最新作、『キドナプキディング 青色サヴァン戯言遣いの娘』を読み終わった。あまり読み返していないシリーズなので、読み終わった勢いで既刊を買い集めて10年ぶりの再読をするくらいに熱が高まっている。3冊目の『クビツリハイスクール』から再読し始めて、今6冊目の『ヒトクイマジカル』だ。

ついついそんなことをしてしまうくらいには面白かった。めちゃくちゃ面白かった。点数にすると50点。100点満点で50点だ。

どこかのインタビューで、西尾維新が「1行1行を面白くしたい」というようなことを言っていたと思うが(10年以上前のダ・ヴィンチか、〈物語シリーズ〉関連のインタビューだと思う)、〈戯言シリーズ〉は特にその傾向が強かった。語り部である“いーちゃん”の独白の面白さがあって初めて成り立っており、それは語り部が交代した『キドナプキディング』においても健在であった。

じゃあなんで50点かと言えば、そのほかの部分が面白くないからだ。

自分は〈戯言シリーズ〉は読んでも、スピンオフの〈人間シリーズ〉〈最強シリーズ〉は読んでいない。それは”いーちゃん”と玖渚友に興味があっても、この世界観には引き込まれなかったからだ。『キドナプキディング』はこの世界観を掘り下げるような話だったのだ。だから面白く感じなかった、というのは大きい。

また、作中で描かれる女性キャラ同士の友情というものがどこか嘘っぽく、ぎこちない雰囲気がある。〈戯言シリーズ〉は”いーちゃん”と他キャラの会話があんなに生き生きとして面白かった作品群だというのに。

そんなわけで、めちゃくちゃ面白い50点の小説だった。

キドナプキディング 青色サヴァンと戯言遣いの娘 (講談社ノベルス)