ひるねゆったりの寝室

アニメとか漫画とか映画とかの感想を書いていきます

日本っぽい景色と『ジョゼと虎と魚たち』『Fate/stay night [Heaven's Feel]』

この前、アニメ映画『ジョゼと虎と魚たち』を見てきた。
原作未読、実写版未見の状態だったので、
自分にとってはこれが初めての『ジョゼと虎と魚たち』になる。
見終わった後に原作の短編を読んだものの、実写版についてはまだ手をつけていられない。
筋立てはかなりシンプルで、後半のとある衝撃的な展開も、終わってみれば納得のいく要素だった。
そういう素朴な物語に存在感を与えるのは、映像の役割である。
個人的には、住宅街や踏切、横断歩道といった何気ない景色を美しく捉えている点が
非常に心地よかった。
どの辺りが好きかと言うと……


【12月25日公開】アニメ映画『ジョゼと虎と魚たち』冒頭シーン大公開!!

↑この映像の3:01付近に出てくる、夜の横断歩道のカットがお気に入り。


蒼のワルツ - Eve MV

↑1:01あたりの、踏切の近くを電車が走るカットがお気に入り。

なぜ好きなのかと言うと、これらが、僕が肉眼で見る景色に近いからである。
スマホで風景を撮ろうとしたことがあると、なんとなくわかると思うけれど、
肉眼で見た美しさが5割も再現できない(いいカメラにすると改善はされます)。
明るすぎたり、暗くなりすぎたり……。

そこのところ、先ほどの横断歩道のカットは、
「そうそう、夜の道ってこんな感じ!」という感覚にとても近い。
電車のカットなら、
「明るいところはこれくらい白く見えるよね。影は黒くなるほど濃くはないよね」
となるわけだ。

全編にわたって、明暗(光と影)の捉え方が、僕の肉眼基準で自然で、
自然だからこその美しさがあると感じられた。
カメラのレンズ効果を強めに再現しているので、
映像全体は「自然」とは別の方向に行っているのだけど、
少なくとも明暗については、そういう印象を抱いた、ということである。

そして、その美しさが、
前述した「住宅街や踏切、横断歩道」に発揮されているのが、とても気に入った。
僕は日本の住宅街や、日常生活に隣接する景色を綺麗だと思う。
駅のプラットフォームや、会社のそばの坂道、歩道橋などなど。
ジョゼと虎と魚たち』は日本のそういった景色を、
海や街路樹、雪などに負けじと美しく描写していて、眼福であった。

 

この「日本の街が描かれてて好き!」の感覚の延長に、
Fate/stay night [Heaven's Feel]』がある。
こちらの場合は、自分がよく親しんでいる洋式の住宅街の他に、
衛宮邸をはじめとする、「和」の建築が登場するのが印象深い。


劇場版「Fate/stay night[Heaven's Feel]」第一章/本予告 | 2017年10月14日公開

↑0:12〜の「緑のある歩道を歩く士郎と桜」「冬木の街の俯瞰風景」
 0:31〜の「夜の道路を歩く桜」が好き。

ちょうどいい映像が見つからなかったけれど、
一章のはじめ、青い空と弓道場という日本的な景色から始まり、
心を掴まれたのをよく覚えている。
二章も雪の降る柳洞寺と地蔵からスタートして、和のテイストが非常に強い。
自分で住んでこそないが、地元には日本家屋が多く残っていたし、
もちろん寺や神社というのも馴染み深い存在だ。
そういった和の空間で、洋装のサーヴァントたちが大立ち回りを繰り広げるところに、
絵的な面白さがあったのだと思っている。

これからも、現代日本を舞台にした劇場アニメは増えることと思う。
洋風の小さな家が立ち並ぶ横に、これまた小さな公園があったり、
ひび割れたアスファルトや錆びたカーブミラーがあったり……
そんな風景がただのインサートではなく、
美しいものとして描写されることを、願ってやまない。