ひるねゆったりの寝室

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『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』の好きなところ/苦手なところ

シリーズものであれ、特定の監督の作品であれ、最新作に触れるのは私にとって良いことだ。特に『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの場合は、前作『:Q』から8年もインターバルを挟んだ故に、初見の時の気持ちが薄れていってしまう。
この8年の間に複数回、前3作を観ていたので、「エヴァ」というシリーズに対して、初見時よりもだいぶポジティブな気持ちに寄っていた。

そこへ、最新作の公開だ。
結果として、「好きなところもあるし苦手なところもある」、
という『:Q』公開以前の距離感に戻ることができたと思う。

エヴァ」の好きなところといえば、
使徒攻略。
・シンジの自問自答。

逆に苦手なところといえば、
・エログロ

となる。

今回の『シン・エヴァ』でもやはりその感じはあって、アスカが裸で登場するとか、サクラの腰回りをアップにするとかは、やっぱり苦手だなあ、という印象。
一方で、「エヴァっぽいやつ」との戦闘が面白かったかというと……
あんまり作戦→攻略という流れではないので、若干好みから外れていた。そしてシンジも自問自答するシーンは少ない。

ではこの映画の「好きなところ」とはどこなのか。
それは第三村パートだ。
今までの「エヴァ」とは明らかにトーンが異なる一連のシーンは、スタイリッシュな路線とは一線を画していてとても動揺したし、惚れ惚れした。

シンジを必要以上にカウンセリングしないケンスケやトウジの描写は、あまり見ないタイプの作劇で、独自の感動があった。
逆にアヤナミレイ(仮称)まわりの描写は、周囲を固める女性キャラ含めて、「エヴァにはなかったが他の作品では見る」タイプになっていたというのが、垢抜けない印象を受ける。

この垢抜けなさは第三村にとどまらず、全編にわたってそういう手つきがある。
シンジがわかりやすく「落とし前」という言葉を使ったり、「(シンクロ率)無限大です」とチープな単語が飛び出したり……ゲンドウの独白に、大きく予想外な動機がなかったのも、そこに加えても良いと思う。

シリーズ全体に「落とし前」をつけるにあたって、過度にオシャレにしない、どころか敢えてチープにしていく姿勢には驚きがあった。

正直、そこまでする必要があったのかはわからないが、そのおかげで『:Q』以前とはだいぶ印象の違う映画になったのは確かだった。
(さすがに「シンクロ率無限大」は行き過ぎているのでは……)

逆に、明確にここは嫌だなぁ、と思ったのは、撮影所(?)のセットで戦う初号機と第13号機のシーン。
虚構だからここは前の場面よりもチープなCGで……という理屈はなんとなくわかるけど、最終作の見せ場なので(しかもラストバトル)、ここは重量感のあるバトルが観たかった……


忘れかけていたけど、そういう梯子を外すようなところが嫌なんだよなぁ、と改めて思ったのだった。

 

『これまでのヱヴァンゲリヲン新劇場版』+『シン・エヴァンゲリオン劇場版冒頭12分37秒00コマ』