ひるねゆったりの寝室

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『ブラッディ・マンデイ シーズン2』の話

先日シーズン1について書いた、『ブラッディ・マンデイ』。
今回はシーズン2の話だ。
こちらもTVドラマ版のことについて書く。

終わり良ければ全て良し、という言葉があるが、
シーズン2はその逆をいったような作品だ。
キーキャラクターである"J"と魔弾の射手の関係の説明を省略し、
とにかくテロリストを同士討ちさせる最終回。
主人公・藤丸のハッキングがいかに好敵手スパイダーを出し抜いたのかも描写されず、
本作を支えていた”出し抜き合い”の魅力が十分に発揮されていなかった。

実はシーズン1の最終回も同じように、"出し抜き合い"の要素は少ない。
毎回、最後は「テーマ」を重視して描写する方向にシフトしている。
その意味ではお約束とも言える……が、あまり嬉しくないお約束だ。

逆に、この”出し抜き合い”要素と、テーマ要素を両方兼ね備えていたのがシーズン2初回である。
シーズン1の最終回は「一人を救うか、大勢の人を救うか」というテーマに対して、藤丸が選択自体を拒否する展開に至った。
シーズン2の初回ではこの構図を再度展開し、藤丸にまたもや選択を迫る。
人を見捨てることができない藤丸の手を、いかにして汚させるか。
そこに注力した展開の容赦なさはシリーズ随一だ。
また、ハッキングによる出し抜き合いもいい。
シーズン1で中性子爆弾すらハッキングしてしまった藤丸の、パワーインフレの到達点ともいえる裏技は、窮地に立つことが多い初回の中で、胸のすく逆転の一手だった。

このシーズン2初回こそ、TVドラマ『ブラッディ・マンデイ』の最高の回であると思う。竜頭蛇尾、しかしその竜が素晴らしい作品だった。