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ひるねゆったりの寝室

アニメとか漫画とか映画とかの感想を書いていきます

『君の名は。』と『サマーウォーズ』

これは僕達のアニメ映画だ

 

2010年3月に『サマーウォーズ』を観たとき、私は今までにない興奮を覚えた。「こんな面白いアニメ映画があったなんて!!」と驚愕したのだ。当時の私は中学3年生。劇場で公開していた時は存在を知らず、親がレンタルしてきたDVDで初めて『サマーウォーズ』に触れた。

自分の地元が題材になっている親近感、OZの世界の想像力、家族ものでありながら湿っぽくない空気感、三段構えのクライマックス。その全てが合わさって、単純に「面白い!」と思わせた。当時『劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』は視聴済みだったのだが、それが気にならないぐらい面白く感じた。初めて同じ映画を2日連続で観たほどだ。

私が『サマーウォーズ』を強烈に面白く感じたのは、内容が自分好みだったのもあるが、「ついに自分が探していたアニメ映画に出会えた」という感触があったからでもある。当時の私にとってアニメ映画とは、ジブリ作品のことだった。小さいころからビデオやテレビでジブリに育てられた私は、当時のジブリ作品に満足できなかった。『ハウルの動く城』『ゲド戦記』『崖の上のポニョ』と、宮崎駿監督や吾朗監督の作家性が前面に出た作品ばかりで、「普通に面白い」と言える作品が無かったのだ。そんな時に『サマーウォーズ』に出会った。

エンターテイメントに徹した作品の気持ちよさに、「これは僕達のためのアニメ映画だ!」と直感した。今から考えれば『サマーウォーズ』を楽しめない同年代の人も大勢いただろうが、その時に「僕達」と思ってしまうくらい、自分以外の若者も楽しめると勝手に思い込んでしまうくらい、私を引き寄せた作品だった。

 

そして2016年8月。再びその興奮を君の名は。が連れてきた。

男女の入れ替わりから生じる軽妙な作劇。時間と距離を飛び越えた真相。想像を遥かに超える規模の災厄。引き裂かれる二人の過剰なまでにセンチメンタルなメロドラマ。世界を自分で救ってやろうとする傲慢さ。それが許されるテンションの高さ。サービスにサービスを重ねる豪華さはまさに『サマーウォーズ』だ。そして何よりも、作り手のサービス精神が自分たちに向いていることが、物凄くありがたかった。

思えば、最近のアニメ映画は必ずしも「僕達」に向けて作られていたわけではなかった。『風立ちぬ』も『かぐや姫の物語』も特定の年代を意識して作られてはいなかった。『思い出のマーニー』は思春期前半の子ども向けだったし、『バケモノの子』の前半は明確に小さな子供に向けて作られていた。

面白いアニメ映画は数あれど、そこに「僕達」はいなかった。「家族向け」が見たいわけじゃない、「感動したい」わけでもない、「ひたすらに面白い」アニメ映画が見たい。そんな欲求に応える快作が、『君の名は。』だ。「僕達」の夢みがちな恥ずかしさも、運命の相手を懸想するバカなところも、全部詰め込んだうえでエンターテイメントにしてくれる。そこに私は『サマーウォーズ』との近似を感じ、「これは僕達のアニメ映画だ」とまた思ってしまうのだ。